街中の防犯灯や街路灯の役割は、夜道を照らすことで通行しやすくしたり、犯罪を予防したりと、住民に安全や安心を与えることにある。しかし、蛍光管の寿命が迫ると一変、その点滅現象は見る人に大きな不安と不快を与えるものとなる。点滅は消灯よりもむしろ不安に感じさせるのはなぜだろうか。管理が行き届いておらず治安が悪い印象を与えるからか、寿命を迎え死を想起させるからか、それとも「異常」に対する恐怖心がためなのだろうか。昨今LED化が進んでいるものの、蛍光管タイプの古い仕様のものもまだ多く、中には点滅現象のまま放置されているものもよく見かける。
Thundercloud Projectは点滅状態になった防犯灯を探しだし、それを雷雲に変身させるアートプロジェクトである。無機質な防犯灯が死にゆく様を、いきいきと発光し生命感みなぎる雷雲へ。イメージを180度転換させ、点滅することが本来であるものに仕立てることで、不安感や不快感を除去する。さらに、夜道の雷雲を見て、楽しさや馬鹿馬鹿しさなど、自由に思いを巡らせてもらい、日常はほんの少しの工夫だけで別世界に変えられることを感じてもらえればと思う。
Thundercloud Project , 2015
Installation with video (color/sound) 3:20 min.
device:W75×H48×D33cm ポリエステル、塩化ビニル材、塩化ビニルシート