穴の空いたコンクリートブロックはその汎用性の高さから、安価に大量生産され、建設現場を中心に様々なシーンで活用されている。ただ、誰でも見たことある、馴染みのあるデザインでありながら、建設作業に縁遠い一般の人々にとっては、全く気にも留めない存在であり、無料でも要らないくらい、彼らにとっての価値は極めて低い水準であるのが現実だ。とかくコンクリートブロックなどの工業製品は、実用性や機能性のみに評価基準が設けられ、大衆製品とは違い、外観の「美」や本来の機能以外での価値は語られることはない。本作ではコンクリートブロックから「工業性」を剥奪し、展示物とすることで、これまでの実用・機能性一辺倒だった評価基準を無効化し、限りなくゼロに近かったブロックの価値を鑑賞者に再評価してもらう。モノの価値とは何かをいま一度考える契機になればと考えている。〈アートプラン〉
カラシレンコンクリート , 2015
W39×H30×D19cm コンクリートブロック、ポリエチレンフォーム