Black And Yellow Line

黒と黄の組み合わせは注意を喚起するサインとして浸透し、道路標識や踏切り、工事現場、製品の取扱説明書など、多方面で使われている。 注意を要する場所であることを示す標識ロープもそうだ。ホームセンターへ行けば誰でも購入できる、黒と黄の縞模様が入ったポリエチレン製の安価な商品だが、その役割は大きい。安全と危険、日常と非日常の境界の線引きをこの安価なロープは担っているのである。物理的なバリケードとしての役割もあるが、主目的はあくまで注意喚起であり、そのために遠目でも確認しやすい視認性の高い配色となっている。ロープを見て意味を認識するまでの時間はほんの一瞬だ。ロープはその一瞬のために存在しているともいえる。本作では標識ロープを題材に作品としてディスプレイすることで、「注意」から「鑑賞」へ、「見る」という行為に質的変化をもたらし、元来長時間見させる前提のないものに真逆の役割を与えることで、固定化された価値の再構築を試みる狙いである。


Black And Yellow Line , 2015
W40×H40×D1cm ポリエチレン製標識ロープ、ファルカタ材、鉄釘