商品の価値を決めるのは、本来は買い手である消費者であるはずだが、宣伝や広告のパワーに押され、売り手側の決めた価値を無抵抗で受け入れる傾向が強くなっている。流行というのは、まさにそれを表す現象といえよう。人の価値観は人それぞれによって違う。人はもっと自分にとっての価値(個人的価値)を見い出し、時には価値を再生産してもよいと思う。機能ではない価格ではない自分だけの価値基準をどれだけの人が持っているのだろうか。本作品は、「価値は誰が決めるのか?」をテーマに、商品の概念を敢えて無視し、機能が全くもって分からない「社会的」に無価値なもの(アンチ商品)を創造し、その社会的価値のコントラストとしての個人的価値をクローズアップさせる試みである。
名物 阿瑠彌 取合せ〈めいぶつ あるみ とりあわせ〉 , 2014
W22×H9.7×D24cm アルミニウム、桐材、厚手用紙、アクリルテープ、和紙