PRESS ROOM

実体としては存在しないが、人間の想像や空想域では確かに存在する運動エネルギーを表した空間、それがPRESS ROOM(プレスルーム)である。
床面に設置された大量の矢印。それらは全て部屋に入った鑑賞者の方に向けられている。矢印とはサインや模式図などで使われるアイコンであり、誰でも機能を認識できるモダンなツールであり、また、それは実体として存在するものではなく、実世界とは違うレイヤーにおいて人の生活をサポートするものである。矢印の機能は方向性の明示にある。人はそこから片方向の運動を空想する。温度も質感も匂いも何もない、ただ純粋たる直線的な運動エネルギー。本来実体物に従属するアイコンを独立させ、主体化することで、漠然とした感覚を補完しようと鑑賞者のイマジネーションが刺激される。身体感覚としては何もない空間。そこで強力で凶暴な力で圧倒される体験を提供する。〈アートプラン〉


PRESS ROOM , 2015
ポリエステル